草原を二分して

 北方謙三の「チンギス紀 (七) 虎落」を読了した。著者はハードボイルド出身の作家であるが、先日完結した大水滸シリーズ等、最近は中国史を題材とした歴史小説が多い。本書は、ユーラシア大陸に拡がる大帝国の礎を築いた英雄チンギス・カンの人生を描いた物語の第七巻であり、テムジン(のちのチンギス・カン)がケレイト王国のトオリル・カンと連合し、モンゴル族ジャンダラン氏のジャムカ、タイチウト氏のタルグダイと、メルキト族のアインガの三者連合を撃破するまでが描かれる。
 前作で金の指示により、テムジンはケレイト王国のトオリル・カンと連合してタタル族を撃滅し、トオリル・カン