祐次郎に憧れる少年

 藤田宜永の「タフガイ」を読了した。著者は直木賞作家で、デビュー当時は犯罪小説、冒険小説等を手掛けていたが、その後恋愛小説に転向し、直木賞を受賞している。最近は冒険小説に回帰していたが、2020年1月に亡くなっている。本書は、「喝采」に続く、「私立探偵浜崎順一郎」シリーズの第二作である。主人公の浜崎は、亡くなった父親が創設した探偵事務所を不本意ながら継ぐが、前作の事件を解決したことにより、私立探偵として人生を生きることの生き甲斐を見出している。
 物語の舞台は、1974年の東京であり、前作の二年後である。一仕事を終えて新宿歌舞伎町にある事務所に戻ろうとし