門井慶喜 の 銀河鉄道の父

★3.5 2017年/下、 第158回直木賞受賞作。気になりながらも覚悟の必要な作品だった。タイトルから見ればおそらく家族のことが語られるのであろうと。賢治が短命であったこと、なにより教科書で読んだ詩『永訣の朝』の妹が登場するにちがいないからだ。今の自分にはまだその時の鮮明な情景が浮かぶからである。

だが読む気になったのは、『風の又三郎』や『銀河鉄道の夜』がどうして生まれたのか、詩『雨ニモマケズ』はどういう状況下だったのか、その興味が強かったからかもしれない。幸い、賢治の父政次郎(まさじろう)の子煩悩な心情をユーモアたっぷりに描いてくれている。

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