連載:読書感想文

143、『痴人の愛』(谷崎潤一郎著)はナオミとの新しい夫婦像描く

『痴人の愛』 谷崎潤一郎著 新潮文庫
昭和22年11月10日発行
ーこの小説は、瀬戸内寂聴などが、『痴人の愛』のモデルになった女性が、まだ生きていると言っていたのを読んでことで、読んでみようと思い、読んだが、そんなにも面白いとは思わなかった。ただ、15歳から関係した女性と、女性が23歳になるまで交流したのなら、現実では、こんな複雑な過程の関係になるだろうとは思わされた。
ー彼女はみんなから「直ちゃん」と呼ばれ。本名は奈緒美と云うのでした。
「河合譲治君」と云えば、会社の中でも「君子」という評判。
 ナオミのような少女を家に引き取って、徐(おもむろ)にその