12月15日 読売俳句
淵脇 護 選
老犬の深き眠りや冬に入る 指宿 鳥越 淳子
(評)公園で見かける犬はたいてい老犬である。寒い冬の訪れとともに、この老犬は犬小屋の中、または玄関の片隅などをねぐらに、身体を丸めて深眠りするようになる。人間も着膨れて暖房の虜となる。犬と季語の二物が衝撃した二句一章俳句の秀作。
哀しみをほどいて毛糸玉の数 霧島 秋野 三歩
湯煙の峡に 谺し冬鴉 霧島 池田 章
軒下に鎌研ぐ今朝の寒さかな 霧島 内村 としお
針箱に母の指ぬき勤労感謝の日 鹿屋 川上 和子
冬凧や網繕ろへる老い