2021年1月の読書

岩崎周一著『ハプスブルク帝国』講談社現代新書(443頁、1100円)。
 スイスのチューリヒの北西約30㎞に、ハビヒツブルクという城跡がある。見晴らしの良い丘の上にある城は増改築を重ねる中、やがて「ハプスブルク」と呼ばれるようになり、一族の名の由来となった。
 城の創建は1020~30年頃と伝えられ、この城とほぼ同時代にハプスブルク家は近隣のムーリにベネディクト派の修道院を建立した。中世期以降、ドイツの貴族は城・領地・修道院の三つをもって勢力の基盤としていたのだった。
 ハプスブルク家は田舎の小さな一領主にすぎなかったが、徐々にスイスの中央部および北西部