春の月微睡むかに色淡く



 指先に春月のせて銀座行く  市川英一

 鳥籠に春月入つて来たりけり  鳥居真里子

 往き帰り春月を背に子等を訪ふ  東秋茄子

 春月や青鷺すこし向きを替ふ  増田幸子

 春月や心地よき夕暮れの景  アロマ

 大いなる春月電線に引っかかり  定梶じょう

 春月へゆく階段の急勾配  菅野雅生

 踊り場に春月眺め夜風吹く  アロマ

 雪道の果春月の触るるやに  林陽子

 春月に触れてこれよりわが時間  岩田裕江

 露天湯の淡き春月掬ひけり  岡野輝子

 春の月パスタに春菊シラス和え  アロマ

 寺屋根の反りに春月