連載:私が歩いた奈良の散歩路

「もいちどの奈良日記」その1「吉野の桜」

「大和は 国のまほろば たたなづく 青垣 山籠れる 大和し美し」
この歌ほど奈良に対する熱い思いを表現したものを知りません。二度にわたりあわせて2年も暮らした奈良は私にとって格別な存在です。はっきりとした故郷がない私にとってふるさと以上のものです。修学旅行は別として私が初めて奈良を旅したのは40歳のときで仏像が主な目的でした。国宝の仏像の半分は奈良にあるからです。しかし毎日のように奈良を歩き回るうちに仏像だけでなく寺社の建築などの佇まい、行事、山や峠、古くからの道、町並み、店、食べ物そして奈良に暮らす人々などに惹かれるようになっていきました。今私が奈良に