私にとっての母と娘

 わけもなく眠れない夜がある。
そんな時、気がつくと私は目を閉じたまま大昔の
記憶を引っ張り出してあちこち彷徨っている。
明け方の浅い眠りの中でよく夢を見る。

 一週間ほど前にみたのは中学生の頃の次女だった。
当時の職場に次女からの電話があった。
「もしもし、お母さん…」
「どうしたの?何かあったの?」
いつもは職場に電話などかかってくることがないので
私は不安になって電話に出た。
当時は携帯電話はない時代だった。

 電話の向こうの彼女の声は弾んでいた。
「あのね、私、今回の模擬テストで県内の〇番に
なったの。自信はあったけど、良かった!」
「えっ、