春昼や漁協競り場の空台車 垂水 重留 悠平
(評)春昼は「しゅんちゅう」と読み、のどかで長い春の日の昼間のこと。朝は競りでにぎわった漁港も、昼間はひっそりと人影もない。下五の「空台車」がものの見事に嵌まっており、この一句不動の秀句に導いた。動の後の静が活写され、初投稿にしては出色の出来栄え。
溶岩原の水無し川や夏霞 霧島 内村としお
春暁や佐多の岬のさざれ波 薩摩川内 大平 正道
注文を伝へ散髪夏隣る 霧島 尾上 春風
山浦にまた山ふたつ夏谺 霧島 神崎 義史
花園の中一畝や葱坊主 鹿