霊魂の見える男

 宮部みゆきの「魂手形-三島屋変調百物語七之続-」を再読した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」「黒武御神火御殿」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第七作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。本書の前作から、三島屋の黒白の間における聞き手が三島屋の姪のおちかから、次男の富次郎に代わっている。
 「火焔太鼓」:自らを浅黄裏だという美丈夫の武士が三島屋を訪れ、彼の故郷のことを語り出す。彼は仮に、大加持藩士の中村新之助、幼名は小新左と名乗