祖母と孫の死の真相

 柄刀一の「或るギリシア棺の謎」を読了した。著者は本格派のミステリー作家である。本書は、来日したアメリカ人法医学者エリザベス・キッドリッジをエスコートしたカメラマンで名探偵の南美希風が、名推理を見せる「南美希風」シリーズの作品で、エラリー・クインの国名シリーズへのオマージュでもある。なお、エリザベスは、主人公に心臓移植手術を行った恩人外科医のロナルド・キッドリッジの娘であり、世界法医学交流シンポジウムのために来日したとの設定になっている。
 美希風とエリザベスは、共通の知人である篤志家の安堂朱海が八十三歳で亡くなったとの訃報を聞き、二人で安堂家を弔問に訪