山本昭宏「戦後民主主義 現代日本を創った思想と文化文化」

 私は1回目の東京オリンピックの年に生まれた昭和世代。明らかに戦後民主主義の恩恵を受けた1人だ。かなり家計の厳しい世帯に育ったが、無利子の奨学金を借りて大学院まで進学し、中流程度の家計を営んでいる。戦後の機会均等政策のお陰で階層移動ができたと思っている。戦後民主主義は太平洋戦争で焼け野原となり、疲弊した日本の国民にとって輝かしい理想であった。しかし、それも束の間、国際情勢は東西冷戦で緊張し、日本も否応なくその対立に巻き込まれていく。

 著者によると、「戦後民主主義」には3つの内容が含まれるとのこと。第一は戦争体験に基づく平和主義、第二は直接的民主主義へ