奈良時代の行基上人が詠んだとされるホロホロと鳴く鳥の詩がある。いろいろな読み解き方があるようだ。
『山鳥の ほろほろと鳴く 声聞けば
父かとぞ思ふ 母かとぞ思ふ』 行基上人
その一つは、行基上人ほどの修行を積まれた方でも、森のなかに鳥の声を聞くと、いまはなき父母のことを思い出して偲ぶという読み解き方だ。鳥の鳴き声により肉親への慕情のような感情が誘われるという解釈。
これもありなのだろうなというふうに思っていた。
しかし、やはりしっくりこない気がしていて、高僧が父母への慕情を直に歌にするものだろうかという疑問を思い浮かべる。
はっきりと私見を
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