八甲田山雪中行軍遭難事件

明治35年1月の八甲田山雪中行軍遭難事件を扱った伊東潤『囚われの山』を読んだ。以前に新田次郎の『八甲田山死の彷徨』を読み、映画『八甲田山』を見て、199人の遭難死者をだした事件について知っていたが、改めて出発から入山、暴風雪の中で磁石も動かなくなり、時計さえも故障する寒さで隊員は次々と動けなくなっていく様子が描かれていた。生還者も四肢を切断し、珍しく障害が残らなかった倉石大尉らは日露戦争の黒溝台の戦闘で戦死したとのことだった。
 私はかつて冬の山で低体温症になりかけたことがある。寒さの中で死ぬのがそんなに凄惨なことか、と意外な印象を受けた。また、物語の主