連載:こころの風景画 Ⅰ

この水を飲むものは又渇く Ⅱ

なんだかドラマに出てくる浮気の現場(?)に遭遇したような気持ちになり、患者さん達のその慌てぶりに私はいささか失笑した。

制限されている心理状態には何倍もの欲求が働くのだと感じた瞬間だった。私はまだ、40代になったばかりだった。

今だから言えることだが、その患者さん達のサイドテーブルには山のような食料が、それは上手に隠してあった。私達はもっと患者さん達の制限食の辛さに気づくべきだったし、そこから教育は出発するべきだったと、つくづく思う。

患者の個人看護記録には間食現場を発見し注意、とだけ記入。
翌朝の申し送りには細かく言わなかった。何だか彼らが可愛そ