蜩の声夕刻の木立より



 杉の秀の狭めし空を赤とんぼ  岸恒雄

 赤とんぼ山で染まりて里へ来る  松崎鉄之介

 赤とんぼ文月末の玄関前 アロマ

 放課後の空いつぱいの赤蜻蛉  唐沢静男

 渋滞のありさうでなき赤蜻蛉  大川泉舟

 赤とんぼ飛ぶや林檎に朱を点じ  大串章一

 赤とんぼ両手をあげて子の走る  酒井多加子

 高麗川の清き流に赤とんぼ  渡辺初枝

 ホバリング夕刻群れて赤蜻蛉  アロマ

 草原に西日を受けて赤蜻蛉 アロマ

 何もなき空をたのしみ赤蜻蛉  秋岡朝子

 赤とんぼ夕日の匂ひ運びくる  岩田育左右

 赤とんぼたたまぬ