「聖火台見る?ほらあれ。」
思いがけない言葉に、私は何処を見ていいのか分からない。
車はもう一周する。
「あれ?見えた!」
橋の上に炎が見える。だが、駐車する場所が見つからない。もう一周した。こんな所で駐車違反する訳にはいかない。警察官の姿が見えていた。ホテルの前の有料駐車場がある。
空いていた。降りて歩いて行くとロチューしている車は、全て警察車両だった。パトカーではない。普通の車から降りて来たのは制服姿の警察官だし、マイクロバスは窓に白い布を張り、室内灯をつけている。
炎の周りには人がいる。無観客になり、オリンピックを身近に感じられるのは聖火台
連載:二人旅