日本人初のイコン画家

 朝井まかての「白光」を読了した。著者は直木賞作家であり、時代小説、歴史小説をテリトリーとしている。本書は、日本人初のイコン画家である山下りんの生涯を描いた評伝小説である。なお、イコン(聖像画)とは、イエス・キリスト(イイスス・ハリストス)、聖母マリヤ(生神女)、使徒、天使、聖書における重要出来事や喩話等を描いた画像であり、現在我々が無意識に使っているアイコンという言葉の語源でもある。
 本書の主人公である山下りん(山下里舞)は、安政四年(1857年)、常陸国笠間藩士の娘として誕生する。りんに物心が付いた時、時代は明治であり、笠間藩は既に存在せず、茨城県