ミライの学校

 辻村深月の「琥珀の夏」を読了した。著者は直木賞作家で、メフィスト賞出身のミステリー作家であるが、最近はミステリー以外の分野の作品も多い。本書は、かつてカルト集団として批判された団体が使っていた敷地から発見された、少女の白骨死体の身元と死の真相を巡る、事件関係者の葛藤と愛憎を描いたミステリーである。 なお、物語は三十年前の小学生時代のノリコとミカの過去の視点、および、四十代になった弁護士の法子の現在の視点をを通して描かれる。
 弁護士の近藤法子は、とあるクライアントの依頼を受け、「ミライの学校」の東京事務局を訪問するが、応対に出た田中と名乗る中年の女性に