梁山湖に立つチンギス・カン

 北方謙三の「チンギス紀 (十一) 黙示」を読了した。著者はハードボイルド出身の作家であるが、先年完結した大水滸シリーズ等、最近は中国史を題材とした歴史小説が多い。本書は、ユーラシア大陸に拡がる大帝国の礎を築いた英雄チンギス・カンの人生を描いた物語の第十一巻であり、従来のモンゴル族の騎馬隊に加え、歩兵部隊と工兵部隊を整備して金国に侵攻したチンギス・カンの姿が描かれる。
 モンゴル軍は太原府を囲むが、太源府は落ちない。小城塞の永利監の攻略を命じられた長子のジョチは、狗眼の助けを借りて永利監を落とし、立て籠もっていた金兵を追放するが、その処置が手緩いと父親に