連載:読書

読書・『愚者の毒』宇佐美まこと、『赤い砂』井岡瞬

■『愚者の毒』 宇佐美まこと (2016年)

小説、映画などで数多く描かれていることだけど、
極貧の状況に置かれた若い女性の運命は過酷なもの。

そんな地獄から逃れようと必死にもがく二人の女性の話で、
『火車』や『白夜行』の系統の作品ですね。

・1985年、職安で偶然出会った二人の女性、石川希美と香川葉子。
ともに35歳の二人は、それぞれが重い過去を背負っていることもあって
互いに助け合うようになる。

葉子が背負う重荷は最初から描かれているけど、
希美の過去は途中まで明かされない。
明かされるのは小説の中盤、第2章から。
炭鉱事故の後遺症で病んだ父