久しぶりに薬師寺に行って、東院堂の聖観音菩薩立像に見入ってしまいました。
このほぼ左右対称で動きの少ない地味な像に、なんとなく強烈に惹きつけられます。
でもその"なんとなく"の部分にモヤモヤし続けて、早10余年。
今回、静かな東院堂の中で改めて考えていました。いつものように、勝手な妄想であります。
優美で繊細な造形技術は言うまでもありませんが、
今回、この像の整然たるシンメトリーが崩れるところの美学に意識が向きました。
優しい微笑みから始まり、
スッと掲げられた左手に伴って天衣が持ち上げられます。
ここで左右対称の均衡が一瞬破られるわけです。
と