連載:心理学

堤 真一の思い出「ファミリーヒストリー」

亡き父をおもいて涙ぐむ。
無口な父には「愛されていなかった」との誤解がとけだし、「やべぇ」の言葉とともに目をこする。

「寒い」といっても、「冬は寒い」としか言わぬ父と会話のない真一は、「生意気な子の自分は嫌われていた」との思いこみがあったという。
それがファミリーヒストリーで父の背後がわかってきた。
父は、息子のために昇進の内示をことわって、今の地にとどまった-転校により今の友らと分かれるのはいやだとの真一の言葉を聞いて。
最後の別れとなった病室では真一にそっけなかった父-実は、真一の友人には手をとって「息子をよろしくたのむ」と願う親の心づかいがあった