平谷美樹 の 国萌ゆる 小説 原敬

★3.2 盛岡出身の平民宰相、原敬の生涯。
物語は原健次郎と名乗っていた14歳、戊辰戦争で責任をとった楢山佐渡の処刑から始まる。前作の「柳は萌ゆる」が楢山佐渡の物語であっただけに、本作はその意思を継ぐ者として描かれている。

会津藩や庄内藩を私怨で朝敵とし、徳川の後釜に座ることのみに固執した薩長に、戊辰の戦で敗戦したことの口惜しさ、更にはそれに続く醜い藩閥政治。東北出身の己がそれを阻止してみせると誓う。

原家の実家のこと、妻・貞子のこと、妾の浅、養子の彬、貢など身内の記述が多い。世の出来事も羅列されるのだか、それに対する意思表示は全くない。政友会という