本の話だ。『全告白 後妻業の女 筧千佐子の正体』。普通のオバサンはただお喋りでいきなり垣根を越えて近付いて来るだけだ。
筧千佐子(かけいちさこ)の名前を目にしたら、殆どの人がああ、あの年寄を何人も殺した女性だと思い出すだろう。
本書は事件の詳細と彼女に直接面会して聞き出した話だ。その時の服装や雰囲気や表情が細かく描写され、それがこの一冊を引っ張って行く。
あの事件で印象的だったのは結婚した男性らに、全ての遺産を彼女に遺すと「公正証書」なるものを書かせていたことだ。単なる遺言より法的効力のあるものを男性に、それも何人もに書かせる普通のオバサン。
男
連載:読書