春夕焼長閑街並み覆われて



 蝋梅や月は光をとり戻し  小坂尚子

 遠回りして蝋梅の風の中  小笠原妙子

 蝋梅のうすらび集め艶めけり  小松誠一

 蝋梅の匂ふ呼鈴押して待つ  井上和子

 蝋梅にさす日燦燦寒に入る  阿部ひろし

 蝋梅の香や蒼天に五重塔  上田繁

 蝋梅のほのと香りて風邪の癒ゆ  関戸国子

 蝋梅の黄の花の照り麗しく  アロマ

 蝋梅に光を返す由比ヶ浜  阿部ひろし

 先がけて素心蝋梅香りけり  小林幸子

 蝋梅の日暮れし路地に匂ひ濃し  大山妙子

 蝋梅の色も滴る雨あがり  山村修

 蝋梅の百本の香や新名所  須