プロレタリア文学の旗手、小林多喜二ゆかりの宿「七沢温泉 福元館」

厚木から宮ヶ瀬湖に続く道沿いに鄙びた温泉地「七沢温泉」がある。神奈川県県央地区の人なら「美肌の湯」と言うことで知る人も多いが、その他の人にとっては、どちらかといえば秘湯の部類に入りかも知れない。その温泉地の旅館の一つに「福元館」という宿がある。この温泉宿の離れに古いが(1920年代の建築)当時としては瀟洒な「離れ」がある。この離れに、1931年3月から約1ヶ月間逗留していたのがプロ文学の旗手と言って良い小林多喜二である。この時期の多喜二は、前年7月に彼の代表作「蟹工船」で不敬罪等により起訴を受け、更に8月、治安維持法で追起訴され、豊多摩刑務所に収容さ