中世の#Me too「最後の決闘裁判」は、羅生門アプローチの典型

 リドリー・スコット監督の中世(1386年)フランスで実際に起こった事件の映画化である。1386年といえば英仏間で起きた「百年戦争」の真っ只中、国王はシャルル6世の時代だ。国王自身はまだ若く、政治のシステムも絶対王政以前の時代で、フランスでは、全土で諸侯が群雄割拠していた時代だ。

 物語は、激戦地ノルマンディーの従騎士ジャン・ド・カルージュと戦友ジャック・ル・グリを中心にまわってゆく。戦友であった二人は、やがて領地や地位をめぐる確執を生じだせ、遂にはジャン・ド・カルージュの妻マルグリット・ド・カルージュをジャック・ル・グリがレイプして仕舞う事件にまで発