連載:読書など

朝日新聞連載小説:池澤夏樹「また会う日まで」完結(1644)

 wakohは長く朝日新聞を購読してきた。1958年結婚以来である。途中留学中の4年間を除けば、ほぼ60年間になるだろう。だが、父もずっと購読してきていた。だから、父の代からすれば、およそ百年に及ぶ読者といってよいだろう。
 もちろん朝日新聞には毀誉褒貶があることは知らぬではない。けれども、一貫して購読者だった。
 ただし、隅から隅までじっくり読むというスタイルではなかった。時には見出しだけ、走り読む場合もあったろう。現役の頃には、新聞をゆっくり読む暇も時間も乏しかったからである。
 無職の老人になってからは、現役の頃よりは、時間をかけて読むようになって