重い十字架を背負った女

 桜木紫乃の「ブルースRed」を読了した。著者は直木賞作家で、女性の性愛をモチーフとした作品が多いため、「新官能派」と呼ばれている。本書は、貧しい生まれながら、釧路の歓楽街の顔役となった影山博人を主人公とした「ブルース」の続編で、義父の博人亡き後にフィクサーの地位を引き継いだ、ダークヒロインの影山莉菜の姿を描いたノワールの連作短編集である。
 「最愛」:莉菜は、かつて博人の用心棒だった齋藤弥伊知と二人三脚で、釧路の街を裏から支配している。護衛を失敗して主を死なせた弥伊知は、その後継者の莉菜に絶対服従を誓っている。二人は博人を殺害したクラウドをイギリスに帰