シスターフッド

 柚木麻子の「らんたん-Lantern-」を読了した。著者はオール讀物新人賞を受賞してデビューした小説家で、「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞等を受賞している。本書は、明治時代にアメリカに留学し、帰国後は女性の教育に生涯を捧げた河井道の、歴史的事実に基づくフィクションとしての伝記(評伝小説)である。
 物語は大正の最後の年、当時製鉄会社に勤めていた五十一歳の一色乕児が、三十八歳の渡辺ゆりという女教師とお見合いをする場面から始まる。乕児は、室町幕府の四識で丹後国守護であった一色家の末裔で、十三代将軍徳川家定の御台所であった天璋院篤姫が名付け親で