連載:金木犀の香る頃に 改訂版

金木犀の香る頃に 蛙川諄一 第7回

第七章 愛と友情 

 繭子が入浴を済ませてベッドに横たわっていると、静かにドアがノックされた。

 「どうぞ」

てっきり瑤子だと思ったら、開けて入って来たのはまさかの瑤子の夫であった。

 (来たー)

 繭子は思わず身を固くして目を閉じた。

 然し、瑤子の夫は静かにもう一方のベッドに横になった。

 「繭子さん。さっきは私ばっかりおしゃべりしてごめんなさい。今度はあなたのお話しを聞かせてくれませんか。確かおうちは介護用品をお作りだとか・・・」
 「ええ、昔は松葉杖から始まったんだそうですが、今は車椅子や歩行器が主体です。大きいものは介護用ベッドや