連載:読書

『残月』

あの月を何と呼べばいいのだろう、「残雪」があるのだから、やはり「残月」もあるのだろうか。ザンゲツ、響きが見ている光景に似合わない。

朝6時半に家を出ると明るくなっている。玄関は西向き。空には不思議な月が丸く見えていた。

夜の煌煌とした感じは消え失せ、かといって昼間の儚さもない。もっとはっきりと自分を主張している。

色は矛盾した言い方だが、濁りのある透明感。和菓子のスアマを水色にしたよう。

翌日も見た。何度か見た。右下から欠けていく。下弦の月。

タイトルが『残月記』とあれば読みたくもなる。おまけに2022年本屋大賞ノミネート。