連載:薩摩よみうり俳句

薩摩よみうり俳句2月20日(火)

2月20日 火曜
  薩摩読売文芸 俳句   渕脇 護 選

風紋の残る足跡春夕焼け      薩摩川内 満永 泰寛
(評)季語は「春夕焼け」風紋は「砂丘の表面などに風によってできた紋様」で、その曲線的で滑らかな模様は、幻想的ですらある。ましてそこに残された人の足跡、それが男女の足跡であればなおさら、深い憂愁の漂う秀句である。

海鳴りは母恋ふ唄や針供養      霧島 秋野 三歩
海渡り軒を忘れず燕来る       霧島 池田 章
引き鶴や掩体壕の残る郷       霧島 内村としお
   (えんたいごう)
まんさくや山の茶店の茹で卵     霧島 尾