落合博「新聞記者、本屋になる」

 著者は毎日新聞の論説委員だった58歳で退職し、書店を開業した。60歳で定年を迎え、再雇用で働くことに希望を持てないのはサラリーマンならよく分かる。ただし、著者は普通のサラリーマンとは違う。奥さんは17歳も若く、子どもはまだ3歳だ。まだまだ20年ぐらいは現役で稼がないと家計が立ち行かない。だから、奥さんは会社を退職することに反対、書店を開業した後も納得していない。著者の見切り発車だ。著者は63歳で年金受給資格を取得し、一息というところだろうが、教育費が本格的にかかるのはこれから。悠々自適とはほど遠いものがある。そんな本屋も死ぬまで続けるという感じではなく