村木嵐 の にべ屋往来記

★3.2 身延山道の万沢宿で旅籠を営む一家を中心とした群像劇。

時代は戦国末期から江戸初期の頃の7つの物語。旅籠にべ屋を訪れるのはいずれも戦国の事件にしがらみを持つ者たちで、旅籠の主である蕗と智吉の母子と関係があった者。

家康の家来であった平岩親吉の死後、家康が家系の断絶を惜しみ、親吉の子と噂のあった子を継がせようとしたが、母親が親吉の小ではないと拒否した伝承をもとにしているよう。

この時代の旅籠を舞台としているのは、目新しい試みではあるものの、物語がしっくりこなくて残念。身延道という地域や宿場との交わりなどの描写に期待したのだが、全く触れていない