明治三十一年のゴールドラッシュ

 浮穴みみの「小さい予言者」を読了した。著者は時代小説作家、推理作家で、2008年に第30回小説推理新人賞を受賞して作家デビューしている。本書は、開拓初期から現代までの北海道を描いた三部作の第三部の短編集である。
 「ウタ・ヌプリ」:弥太郎は両親とともに、石川県から北海道北見江刺の檜垣農場に移住したが、明治三十一年に北見江刺の幌別川で砂金が発見されたことから、俄かにゴールドラッシュが起こる。弥太郎の父親父親の孝蔵は、若い時に無頼な生活を送った経験があるにも関わらず、ゴールドラッシュには見向きもしない。しかし、若い弥太郎は家を飛び出し、砂金掘りになる。弥太