神か、悪魔か

 柚月裕子の「ミカエルの鼓動」を読了した。著者は、2008年に第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞してデビューしたミステリー作家である。本書は、難病の少年の心臓手術の術式を巡る二人の心臓外科医の対立と、手術支援ロボットに纏わる疑惑を描いた医療サスペンスである。
 本書の物語の主人公は、北海道中央大学(北中大)病院循環器第二外科科長兼病院長補佐で四十五歳の西條泰己である。西條は、ロボット支援下の心臓手術では、世界の第一人者であるとの評価を得ている心臓外科医であり、手術支援ロボットとしてはイー・グライフェン社の「ミカエル」を使用している。北中大病院院