戦後の明智ワールド①

 江戸川乱歩の「明智小五郎事件簿-戦後編 Ⅰ-」を読了した。本書は、著者が生み出した名探偵明智小五郎が戦後に関わった事件を、その発生順に並べたコレクションであり、長編の「青銅の魔人」「虎の牙」の二篇と、短編の「兇器」の一篇が収録されている。なお、明智小五郎が登場する戦後の作品は、主として少年探偵団物なので、本シリーズに全作品を収録している訳ではない。そのため、本書では未収録作品を補遺する目的で、それらの作品名を列挙したコラムが設けられている。
 「青銅の魔人」:1945年~1946年の冬の間の一か月半。全身が青銅で覆われた機械人間が宝石店を襲い、高価な時