第十七章 緩和病棟
瑤子の手術の成功を見届けて帰った二日後の朝、宰光から連絡が入った。
「今日緩和病棟に移りました。取り敢えずご連絡だけ」
えっ!
緩和病棟ってターミナルケアではないのか?
これからは少しずつでも快方に向かって行くはずだと信じていた繭子には思いもよらない成り行きである。
繭子は居ても立っても居られず東京に向かった。
武蔵野医大附属病院には一般病棟とは別に緩和病棟がある。緩和病棟は患者が出来るだけ自宅で生活しているような安らぎを感じつつ暮らせるように配慮されていて、危険物などでない限り持ち込みは自由である。
繭
連載:金木犀の香る頃に 改訂版