第二十一章 別れの個展
さすがの残暑も十月に入れば秋風が吹いて涼しくなる。
開け放たれた窓から金木犀の香りが漂って来る頃、宰光から個展の案内が届いた。
「画商の要請に応えて今回初の大阪での個展を開催する事になりました。 場所は『アートスペース梅田』期間は十月二十日から二十五日まで」
手書きで(繭子さんのお越しをお待ちしています)と一筆添えられている。
『アートスペース梅田』は、嘗て繭子が通った着付け教室と同じビルにある。
宰光はビルにほど近いビジネスホテルに連泊するらしい。
折角梅田で開かれるのだし、あの喪服のモデ
連載:金木犀の香る頃に 改訂版