2022年6月下旬の読書 その2

浅田次郎著『月下の恋人』光文社
 雑誌『小説宝石』に掲載された11編の短編小説集。プロの小説家のアイデアは「場の設定」が要諦なのだろう。それができたならあとは書くだけ。書くことに関してはプロ、呻吟することもないのだろう。
 言葉をどう選ぶかなどということは、われわれレベルの初期段階の時間の浪費と言えそうだ。書くべきことも定まらないまま、語彙について迷っているのとはわけが違う。この言葉よりももっといい言葉はないのかと、枝葉末節のところであれこれ考えていては、締め切りには間に合ないだろうし。
 浅田さんの小説を読んでいて、うまいなと思う。

小檜山博著『漂着