西遼の滅亡

 北方謙三の「チンギス紀 (十三) 陽炎」を読了した。著者はハードボイルド出身の作家であるが、先年完結した大水滸シリーズ等、最近は中国史を題材とした歴史小説が多い。本書は、ユーラシア大陸に拡がる大帝国の礎を築いた英雄チンギス・カンの人生を描いた物語の第十三巻でありる。本書では、中国の河北を征服した後、西遼を簒奪した元ナイマン王国の王子のグチュルクを討って西遼を滅ぼし、遂に西方の雄ホラズム・シャー国と国境を接することになるが、同国に派遣した使節団が虐殺されたため、同国に決戦を挑むことになったチンギス・カンの姿が描かれる。
 ジャムカの息子のマルガーシはサ