あさのあつこ の「乱鴉(らんあ)の空」シリーズ11

★3.5 木暮信次郎の八丁堀の屋敷が奉行所の取り方に襲われた。だが、信次郎はいなかったらしい。続いて伊佐治親分が大番屋にしょっ引かれた。信次郎が妬まれて何かの濡れ衣を着せられたのか、はたまた奉行所を動かすほどのお偉方の身辺を探ってしまったのか。

信次郎が登場しないために、話は深川森下町の清之助の小間物問屋・遠野屋と尾上町の伊佐治親分の飯屋「梅屋」が主とならざるを得ない。清之助は伊佐治の女房おふじから頼まれ、伊佐治の釈放を元北町奉行の旗本、中村備前守の用人、板垣平十郎に頼んだ。中村家は婚礼の品物を収めた縁で、遠野屋が金を融通していた経緯があったのだ。