連載:恥と痛苦に耐えて生きる覚悟

恥をさらし、痛苦に耐えて生きる覚悟  芭蕉の「かるみ」

芭蕉の「かるみ」  ~「わび・さび」を越えて~

 (1) 「かるみ」とは

 芭蕉は生まれた時からの天才ではない。芭蕉が「本当の芭蕉」になったのは「人生50年の時代」自分の人生に見切りを付けた40歳頃からである。1684年 41歳で旅の途中で死ぬことも覚悟して「野ざらし紀行」の旅に出て、43歳で「古池や蛙飛び込む水の音」をして蕉風俳諧を確立し「わび・さび」の境地を求めた。「奥の細道」を経て「かるみ」に到達し。実際、1694年10月 51歳で「旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる」を最後に亡くなっている。 ※「わび」とは閑寂なものの良さ。「さび」