連載:恥と痛苦に耐えて生きる覚悟

恥をさらし、痛苦に耐えて生きる覚悟  芭蕉の「かるみ」(2)

 (2) 蕉風俳諧の確立

 芭蕉は1686年 43歳で「古池や 蛙飛こむ水の音」と詠んで蕉風俳諧を確立した。この句が何故そんなに素晴らしくて、外国にまで有名なのか私には良く理解出来なかった。「これの素晴らしさが分からない人には俳句は無理ですね」と云われ、分からない人も分かったような顔をしている。

 今はやっと分かったから、その意義を簡単に説明しておこう。この句はそれまでの和歌の教養をひけらかす俳諧を「お座敷芸」「物まね文芸」から「創作的文芸」「自分の文芸」へと独立させた句なのだ。現代俳句の「客観写生」の源流なのだ。

 江戸時代の江戸でも