ホラズム・シャー朝との戦い

 北方謙三の「チンギス紀 (十四) 萬里」を読了した。著者はハードボイルド出身の作家であるが、先年完結した大水滸シリーズ等、最近は中国史を題材とした歴史小説が多い。本書は、ユーラシア大陸に拡がる大帝国の礎を築いた英雄チンギス・カンの人生を描いた物語の第十四巻であり、モンゴル軍とホラズム国の戦いが描かれる。
 オトラルでイナチュルクに使節団を虐殺されたチンギス・カンは、カサルとテムゲの二人の弟を対金国への防衛に残し、息子達や歴戦の将軍達、歩兵部隊と工兵部隊を率いてホラズム国に親征する。先遣するのはジェベとスブタイであり、二日遅れてチンギス・カンの本営がフ