八百万の神様の博打

 宮部みゆきの「よって件のごとし-三島屋変調百物語八之続-」を読了した。著者は直木賞作家で、ミステリー、時代劇、ファンタジー等、レパートリーの広い作家である。本書は、「おそろし」「あんじゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」「黒武御神火御殿」「よって件のごとし」に続く、三島屋変調百物語シリーズの第八作目であり、著者お得意の江戸怪異譚である。なお、三島屋の黒白の間における聞き手は「あやかし草紙」から、嫁に行った三島屋の姪のおちかから、次男の富次郎に代わっている。
 「賽子と虻」:本篇の語り手は、自らを笑いを忘れた男と語る、年齢不詳の餅太郎である。餅太