柚月裕子 の 教誨(きょうかい)

新聞広告の帯封に「幼女2人を殺めた女性死刑囚、最後の言葉『約束は守ったよ、褒めて』」から、珍しく現代ものを読んでみることになった。塩田武士の「罪の声」以来かもしれない。

遠い親戚だという理由で、死刑囚・三原響子の身元引受人となった吉沢香純は、東京拘置所で遺品と遺骨を受け取ることになった。刑を執行された響子の最後の言葉も聞いた。秋田の母親も既に亡く、本家とされる家も、その菩提寺も遺骨を受け取ることを拒否したことから、香純は響子がどんな人間で、どんな心境で死んでいったのかをせめて自分だけでも分かってやろうという気になった。香純の遺骨を抱えての旅が始まる